透析時運動指導等加算(令和 4 年度診療報酬改定)の算定要件等に関する Q & A

【腎臓リハビリテーションガイドライン講習会によせられた質問への回答】

(診療報酬に関わることを中心とした回答)

 


日本腎臓リハビリテーション学会は、日本中の透析施設がCKD患者さんの社会参加と社会に貢献するための手助けをして頂きたいと考えています。包括的腎臓リハビリテーションを保険診療で評価して頂くために、その方法論を10年間に渡り厚労省と協議を重ねてまいりました。その結果が今回の『透析時運動指導等加算』です。認めて頂くのに長期間を要しましたが、学会としてお願いしてきた事の一部が認められたにすぎません。しかし、今回の診療報酬が今後の更なる発展につながることを強く期待しております。厚労省も包括的腎臓リハビリテーションの重要性を理解して頂いています。今後も時間はかかりますが、地道に折衝を重ね進むべきと考えています。

今回の診療報酬は『加算』であり、従来のリハビリテーション料とは概念が全く異なり、心臓リハビリテーションの集団療法とも異なります。加算とは、ある医療行為があって、同時に更なる医療行為を実施した時にプラスの点数を付ける事です。即ち、一人の患者さんに透析という医療行為を実施した際に、同時に運動指導等を行ったら透析の医療行為に対する点数に加えて、運動指導等として加算(75 点)を請求できるものです。

既に疾患別リハビリテーションが算定可能な施設は、そちらを優先してください。今回の診療報酬は疾患別リハビリテーションを算定できない施設を対象に算定する事を想定しています。

多くの質問を頂いていますが、重複するものも多く下記にまとめています。厚労省から出された文章に対する日本腎臓リハビリテーション学会としてのコメントであり、必ずしも全てが厚労省の解釈とは一致するものではない事をご承知おき下さい。


 

当学会としての見解は下記の通りですが、今回の回答が実際の診療報酬改定内容の解釈と齟齬が生じる可能性があります。実際の算定については各地域の厚生局が行うため、そちらへお問い合わせください。https://kouseikyoku.mhlw.go.jp/)

 

「透析時運動指導等加算の算定要件の概要」

 

・人工腎臓を実施している患者に対して、医師、看護師、理学療法士又は作業療法士が、療養上必要な訓練等について指導を行った場合には、透析時運動指導等加算として、当該指導を開始した日から起算して90日を限度として、75点を所定点数に加算する。

・透析患者の運動指導に係る研修を受講した医師、理学療法士、作業療法士又は医師に具体的指示を受けた当該研修を受講した看護師が1回の血液透析中に、連続して20分以上患者の病状及び療養環境等を踏まえ療養上必要な指導等を実施した場合に算定できる。

実施した指導等の内容を実施した医師本人又は指導等を実施した理学療法士等から報告を受けた医師が診療録に記録すること。入院中の患者については、当該療法を担当する医師、理学療法士又は作業療法士の1人当たりの患者数は1回15人程度、当該療法を担当する看護師の1人当たりの患者数は1回5人程度を上限とし、入院中の患者以外の患者については、それぞれ、1回20人程度、1回8人程度を上限とする。

・指導等に当たっては、日本腎臓リハビリテーション学会「腎臓リハビリテーションガイドライン」等の関係学会によるガイドラインを参照すること 。

・指導を行う室内に心電図モニター、経皮的動脈血酸素飽和度を測定できる機器及び血圧計を指導に当たって必要な台数有していること。また、同室内に救命に必要な器具及びエルゴメータを有していることが望ましい。

・当該加算を算定した日については、疾患別リハビリテーション料は別に算定できない。

 

質問に対する日本腎臓リハビリテーション学会からのコメント

2022年9月

 

<指導期間について>

1.90日間とは指導開始日から90日間であり、透析日のみの90日ではありません。

2.90日間の中で外来、入院があっても通算して90日間で算定期間は終了します。

3.90日間の中で施設が変わっても算定可能です。算定期間は最初の施設の開始から90日間です。

4.2回目の90日間指導の算定の可否は不明です。

5.90日間の設定根拠は当学会では不明であり、今後検証が必要です。

 

<指導者について>

1.今回の加算で指導可能な職種は医師、看護師、理学療法士、作業療法士です。

2.指導加算を算定するには、日本腎臓リハビリテーション学会が実施した腎臓リハビリテーションガイドライン講習会の受講証を取得するか、もしくは 日本腎臓リハビリテーション学会認定の腎臓リハビリテーション指導士資格を有するか、いずれかが必要です。

3.既に腎臓リハビリテーション指導士の資格を有する方は腎臓リハビリテーションガイドライン講習会の受講は必須ではありません。ただし運動指導等加算の指導ができる職種は医師、看護師、理学療法士、作業療法士です。

4.講習会受講証の有効期間は腎臓リハビリテーション指導士の認定期間を超えないという認識です。今回の受講を契機に今後腎臓リハビリテーション療養指導士取得をぜひご検討ください。

 

<指導内容について>

1.対象者は慢性血液透析患者と認識しています。急性血液浄化療法中の患者や膜透析患者は今回の算定の対象外と考えます。

2.運動指導等に関する同意書の取得、リハビリテーション処方箋や指示書、実施計画書の作成は不要と考えます。

3.指導時は医師が医療機関内にいる必要があります。

4.指導資格認定者が不在の日は算定できません。 透析中の運動実施中は指導資格認定者がベッドサイドにいる事が望ましいです。

5.指導ごとに、医師が血液透析中に運動指導等を20分以上実施した内容をカルテに記載する必要があります。所定の書式はありませんが運動処方に相当するような内容があるとわかりやすいと思います。実施時刻も記載する方が望ましいと考えます。

6.運動指導等には、運動方法の説明、運動の実施、運動に係わる療養指導などが含まれます。

7.今回の加算では血液透析中に実施した運動指導等が対象となります。血液透析以外の時間帯は対象ではありません。

8.複数の患者を同時に指導する場合は前述「透析時運動指導等加算の算定要件の概要」を参照ください。

9.運動効果を出すためにはある程度以上の負荷(強度、時間、頻度)が必要です。単に運動をしただけで効果が出るわけではありません。個々の症例に最適な負荷量の決定が必要です。そのために可能であればCPXを実施することが望ましいと考えます。

10.算定に当たり予め必要な検査は規定されていませんが、少なくとも、指導前後の筋力測定や歩行速度・距離など指導効果の有無のチェックは必要と考えます。評価項目に関しては講習会で確認してください。

11.EMSなどの電気刺激のみの実施での算定は難しいと考えます。

 

<他のリハビリテーションについて>

1.当該加算は、既存の疾患別リハビリテーションには該当しません。

2.当該加算を算定した日については、その症例に疾患別リハビリテーション料は別に算定できません。

3.基本的には透析日に介護保険を利用したリハビリテーションサービスは利用できません。非透析日に介護保険を利用したリハビリテーションサービスを受けている方で透析日に今回の加算算定は可能です。

 

 

透析時運動指導等加算(令和4年度診療報酬改定)の算定要件に関するQ & A

 

当学会としての見解は下記の通りですが、実際の算定については各地域の厚生局が行うため、そちらへお問い合わせください。https://kouseikyoku.mhlw.go.jp/

 

Q1―1 医師、看護師、理学・作業療法士以外の職種でも、この講習会を修了すれば透析時運動指導等加算の算定要件を満たしますか?

(A)令和4年度診療報酬改定による透析時運動指導等加算の算定要件(概要)には、「透析患者の運動指導に係わる研修を受講した医師、理学療法士、作業療法士又は医師に具体的に指示を受けた当該研修を受講した看護師が1回の血液透析中に、連続して20分以上患者の病状及び療養環境等を踏まえ療養上必要な指導等を実施した場合に算定」と明示されており、その他の職種はこの算定要件に含まれておりません。このため、現状(令和4年度の診療報酬改定)では、医師、看護師、理学療法士、作業療法士以外の職種の方が本講習会を修了しても、透析時運動指導等加算の算定要件は満たさないことになります。また、上記の理由から、医師、看護師、理学療法士、作業療法士以外の職種で腎臓リハビリテーション指導士を取得していても、本算定要件は満たさないことになります。

 

Q1―2 透析時運動指導の実施には医師の指示、患者の同意書が必要でしょうか?

(A)医師の指示は必要であり、保険医としての指示のカルテ記載は義務であります。
患者同意書に関しての記載はありません(不要であると考えています)。

 

Q1―3 カルテ記載は医師カルテとされていますが、指導士やガイドライン講習会受講済み資格のない医師(または看護師)の記載でもよいのでしょうか。

(A)カルテ記載は必ず医師が実施する必要があります。その際、ガイドライン講習会受講済み資格のない医師でも可能です。看護師の記載は不可となります。
 ただし、ガイドライン講習会受講したスタッフが必ず指導する事が条件となります。

 

Q1―4 カルテの記載はリハビリ内容の詳細記録が電子カルテに記載されていないと算定は得られないのでしょうか?または、「腎臓リハビリ実施を指示した」のみでよいですか?

(A)リハビリテーション内容の記載は必要です。

          ただし、どの程度詳細な記録が必要かは求められていないので、電子カルテもしくは紙カルテに記載でも可能です。

 

Q1―5 医師がガイドライン講習会未受講で、リハスタッフや看護師が受講済みの場合で、受講済みのリハスタッフや看護師が指導した場合、診療報酬請求は可能でしょうか。

(A)可能です。ただし、医師が指示をして記録も医師がする事が必要です。

 

Q1―6 医師が講習会受講済みで、リハスタッフや看護師が未受講の場合、医師の指示の元、リハスタッフや看護師が指導した場合、診療報酬請求は可能でしょうか。

(A)不可能です。医師が指示し、講習会を受講した医師が指導すれば請求可能です。

 

Q1―7 医師は腎臓内科医や透析専門医でなくても算定可能でしょうか?

(A)算定可能です。

 

Q1―8 算定可能なのは、透析を実施している部署所属職員が指導した場合のみなのでしょうか?

(入院病棟配属の看護師や理学療法士が受講済の場合、指導した場合は算定不可ですか?)

(A)講習会受講したスタッフが指導すれば算定可能です。

          ただし、その旨を記録すべきであると考えています。